全国の有権者は、都議選で歴史が変わる印象的な光景を目の当たりにした。都民ファーストの名もなき新人が次々にトップ当選し、固い地盤を持っていた自民党のベテラン都議が軒並み落選、「結党以来の記録的大惨敗」(同党選対幹部)を喫した。だが、真の勝者は小池知事でも都民ファーストでも、ましてや共産党でもなかった。
選挙の最前線に立った自民党都連の幹部が絞り出すように語った実感がそのことを示している。
「投票日の午後の出口調査で気づいたが、本当の敵は都民ファーストではなかった。自民党と共産党が最後の1議席を競り合っていた選挙区で、共産党が嫌いなはずの保守層や無党派層が、自民候補を落とすためだけに共産候補に投票するという現象が起きていた」
◆特定の候補を落とす自由がある
今回の都議選では日本で最初の本格的な「落選運動」が展開され、「自民党候補を落選させる」ために1票を投じた有権者がいたのである。それが大きなうねりとなって1人区ばかりか、中選挙区の2人区や3人区、4人区でも自民党候補が全滅する現象を起こした。選挙制度論に詳しい上協博之・神戸学院大学教授が語る。