「特定の候補を政治家に相応しくないと訴え、当選させないようにする行為、つまり『落選運動』は選挙運動とみなされないため、公選法に抵触しません。告示前は特定の候補を当選させる選挙運動(事前運動)は禁じられていますが、落選運動は可。いつでも始められるし年齢制限もない。選挙期間中も有権者がメールで投票を促すことは認められていないが、落選を促すメールは禁じられていません。
注意が必要なのは候補者が2人しかいない場合。一方を落選させる活動が、他方の候補を当選させるための選挙運動とみなされる可能性はあります」
特定の候補を落とす活動は、ある程度の自由が許されていることになる。落選運動は海外ではすでに市民権を得ている。
韓国では2000年総選挙で大規模に行なわれ、学生や460の市民団体が「総選挙市民連帯」を組織して政党を問わず、腐敗政治家や職務怠慢、選挙不正を起こした86人の「落選させるべき政治家」をリストアップして対立候補への投票を呼び掛け、59人を落選させた。米国でも、2012年の共和党の大統領予備選挙で保守系団体(ティーパーティー)が共和党穏健派のロムニー候補の指名に猛反対する運動を展開。その他、大物議員らも落選運動によって大打撃を受けている。
日本でも、「神の国解散」と呼ばれた森内閣の2000年総選挙で「市民連帯・波21」が結成されて落選政治家リストが公表された。2015年の安倍政権による安保法強行採決後にも、翌年の参院選に向けてネットに『安保法案戦犯リスト』が掲示されたことがあるが、運動は盛り上がらなかった。