投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が8月14日~8月18日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみあいか。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり米朝間の対立が激化しつつあり、軍事衝突に発展する可能性があることから、リスク回避のドル売り材料となっている。一方、市場参加者は米連邦準備制度理事会(FRB)によるバランスシートの早期縮小と利上げ継続を想定している。米7月小売売上高などの主要経済指標を点検し、米金融政策の今後の方針を見極める展開となりそうだ。
ミサイル発射で米国への挑発を続ける北朝鮮に対し、トランプ米大統領は「世界が見たこともないような炎と怒りに直面する」などと発言。それに対し北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍はグアム周辺地域を「火星12」(中長距離弾道ミサイル)で包囲射撃する作戦計画を慎重に検討していると応じた。こうした両国の対立で朝鮮半島有事への警戒感は高まっており、短期的にはリスク回避の円買いが続きそうだ。
一方、米経済指標では15日発表の7月小売売上高が材料視される見通し。3カ月ぶりのプラスが見込まれており、予想通りなら個人消費の増大により米経済の成長持続が期待され、利上げ継続への思惑が広がりそうだ。ただ、FRBのバランスシート縮小や追加利上げなどの金融正常化に関しては、タイミングや正当性について懐疑的な見方が少なくない。7月25-26日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は16日に公表されるが、ハト派寄りのトーンが強い場合、ドルの先高観はやや後退する可能性がある。
なお、一部の国内投資家や事業法人などは18日頃まで夏季休暇に入ることから、ドル安局面でもドルを買い戻す投資家が少なくなり、ドル・円相場の下支えは難しくなるとの見方がある。1ドル=110円を下回る状態が続いた場合、ドル・円の想定レンジは110~115円から108~113円に移行する可能性がある。
【米・7月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の米7月小売売上高は前月比+0.4%と、6月の-0.2%から改善が見込まれる。想定通り3カ月ぶりのプラスとなれば、成長持続を背景に連邦準備制度理事会(FRB)によるバランスシート縮小と利上げ継続への期待が高まり、ドル買い材料になりそうだ。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表】(16日公表予定)
7月25-26日に開催されたFOMC会合の議事要旨は16日(日本時間17日3時)に公表される。前回のFOMCでは市場の予想通り、現行の金融政策の据え置きが決定された。9月の着手が見込まれるバランスシート縮小について、FOMCの声明で「比較的早期に」とされた経緯などが注目されそうだ。
・8月14日-18日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。