またなぜ食べる回が高い満足度なのかを視聴者の感想から紐解くと、「食べ物の回はマツコがおいしそうに食べてくれるので見るのが好きです」(39歳女性)、「マツコさんがおいしそうに食べる姿を見ていると幸せな気分になれる」(42歳男性)など、マツコの食べっぷりの気持ちよさはもちろんなのだが、「メロンパンが美味しそうだったので買いに行った」(32歳女性)、「早速ネットで卵丸ごと一個入っているの(紹介された練り物)を注文しました」(57歳女性)、「うどんが食べたくなって煮込みうどんを作った」(52歳女性)など、この番組の販売促進力の高さには驚きだが、身近な食品だからこそ視聴者が気軽に買って試し、番組に参加した気持ちになれる“体験的な面白さ”が加わることも満足度を高める要因のようだ。
だからこそ番組サイドとしては、視聴者の満足度を高める“食べる回”を多めにしたいところだろう。だが紹介できる“食べ物”とそれに特化した人物は無限に存在するわけではない。今年を振り返っても、回転寿司やチョコレート、うどんなどの王道だけではなく、ダムカレーやチョコミント、レトルト麻婆豆腐などのピンポイントすぎるグルメや、漫画に登場する料理を再現した“マンガ飯”、平野レミの自由すぎるレシピ“ざっくり料理”、弁当界の新勢力らしい“お弁当パン”といった変化球も登場させるなど、最近ではかなりマニアックなものや食材プラスαも増えており、テーマ選びには苦心している様子。
もちろんマツコの豪快な食べっぷりも楽しみなのだが、食材がテーマであるか否かで視聴者の満足度を左右する“食べる・食べない問題”を番組サイドがどう解決していくのか?という斜めの視点も併せて今後も注目していきたい番組だ。
【大石 庸平・おおいしようへい】
「テレビウォッチャー」主任研究員。データニュース社が行っているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー 」(http://tv-watcher.jp/)の“満足度”をもとに日々テレビ番組を研究している。放送局への番組レポート提供の他、データを使った番組評記事もウェブにて展開中。仕事に関係なくテレビが大好きで、特にドラマに詳しいドラマニア。内容はもちろん脚本・監督らのスタッフ情報、そして視聴率データにも精通している。
◆「テレビウォッチャー」満足度調査とは?
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1200+女性1200=計2400 ※回収数は毎日変動する
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」 各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準