インターフェロン治療を72週間続けて肝炎が完治すると、味覚障害も治まったという。オール巨人は完治記念パーティを開いた。当時、東日本大震災の直後だったため、禁酒を解く乾杯は東北の日本酒にした。
「味覚が戻ると同時に変化もあって、日本酒はあまり飲むほうではなかったけど、ぐいっと飲んだらうまいのなんので好きになった。
僕はお客さんに余計な心配はかけたくないから病気を理由に休まなかった。つらい時期には顔色が悪いのを女性用の頬紅を塗って隠して舞台に上がり続けた。絶対にうまいとわかっているものが食べられないのが本当にしんどかったから、仕事をしていなかったらうつ病のようになって耐えられなかったと思います」
歌舞伎俳優の中村吉右衛門(73)も、2013年に会見で味覚障害を発症していたことを明かし、「こんなに苦しい思いをするなら、このまま逝かせてくれって思った」と衝撃的な言葉でその苦しみを表現した。
甘味しか感じず、好物のうなぎを口にしない理由を「食べた時にまずかったら生きる希望がなくなっちゃうから」と語っていた。
※週刊ポスト2017年11月3日号