「やっぱりここからだね。不安だったけどDNAが覚えていた。前に前に進みたい」。草なぎ剛(43才)の涙まじりの決意表明で72時間という長丁場に幕を閉じた『稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます「72時間ホンネテレビ」』(AbemaTV)。
11月2日の夜9時から5日の夜9時にかけて放送された同番組は、元SMAPの草なぎ・稲垣吾郎(43才)・香取慎吾(40才)の独立後初共演、さらに3人が72時間ぶっ続けでMCを務めることで注目を集めていた。また、その場がこれまで彼らが活躍してきた地上波テレビではなく、AbemaTVという新興のネットテレビであったことも話題を呼び、累計視聴数が同局歴代最高となる7400万視聴という驚異的な数字を叩き出した。エンタメ評論家の西田宗千佳氏が解説する。
「地上波のテレビとは、白熱ぶりの次元が違う。わざわざスマホを立ち上げ、LINEでもツイッターでもYouTubeでもなく、AbemaTVを選んだ人が7000万超もいたのは驚きです。今やネットテレビの勢いは地上波をはるかに凌駕しています」
◆地上波ではとんがったものを作れない
AbemaTVだけではなく、今、ネット動画配信サービスに熱い視線が注がれている。自宅にネット環境が整っていれば、簡単に契約できる手軽さと、時間や表現の規制が少なく自由な内容が魅力だ。
「地上波はスポンサー広告で成り立っているため、表現の自由度が低く、CM前に盛り上がりを持ってくる暗黙のルールが存在し、視聴者不在の無茶苦茶な番組構成になることも少なくない。さらに『老若男女が見ている』という配慮から、自ずと規制をかけてしまうこともある」(西田氏)
このジレンマは、地上波の作り手側も痛感している。松本人志(54才)はテレビ界の現状を11月5日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でこう嘆いた。
「本当に大変やわ、テレビでバラエティーやるのは。いわゆる攻めた企画はほぼできなくて、やったらやったでお金もかかるし時間もかかるし、体力もいるし。これだけの条件がありながら『とんがった』物を作り上げていくというのは、ほぼ不可能に近い」
一方でネットテレビはCMがほとんどない。そのうえ基本的には登録して視聴するため、内容にクレームが出た場合でも「嫌なら契約を解除してください」と突っぱねることもできる。つまり“タブー”にも踏み込めるのだ。