もうすぐ一年が終わると感じる風物詩のひとつに、その年の新語・流行語大賞の発表がある。ノミネート語が発表されると、あの言葉が入っていないのはおかしい、どうしてこのフレーズが採用されたのだとSNSなどで好き勝手に論評されるのもお約束の光景だ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、今年のノミネート語に特徴的なある変化について考えた。
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ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート語30が発表されたが、ラインナップを見た瞬間、ネットに対する「脅え」を感じた。何しろ右派が左派を批判する定番である、ネット用語で言うところの「反日的」「日本貶め」系の言葉が見当たらないのである。
2014~2016年にかけ、流行語大賞は年末恒例のバッシング対象となった。2014年は「集団的自衛権」と日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」がW受賞。衆院選直前だっただけに伝統的に右派の強いネットでは、左派のメッセージだったのでは、との憶測が多数書き込まれた。
朝日新聞はこの件について〈選考委員のジャーナリスト、鳥越俊太郎さんは「特定秘密保護法から始まってアベノミクス、集団的自衛権、原発再稼働も、国民が反対しているにもかかわらず政府は少しずつ推し進めた。それに対して国民の気持ちを最もよく表すのが『ダメよ~ダメダメ』」と総括した〉とも報じており、選考委員の思惑を反映した形との指摘もネットでは出ていた。
2015年、右派は再びざわめいた。トップ10に「アベ政治を許さない」と「SEALDs」が入ったのだ。安倍晋三首相が提唱する「一億総活躍社会」も入り、バランスを取った形になったものの、この言葉自体が失笑されていただけに皮肉にも取れる。この年はエントリー語もなかなか左派色が強かった。