NHKスペシャルで全8回にわたって放送中のシリーズ『人体 神秘の巨大ネットワーク』は、これまであまり知られてこなかった「臓器や体組織の間での情報伝達」のメカニズムを明らかにし、話題を呼んでいる。通常、体内の各部位へのメッセージは脳が出すと思われていたが、実は各臓器や体組織もメッセージを出していることが明らかになったのだ。
来年1月7日に放送予定のシリーズ第3弾『“骨”が出す! 最高の若返り物質』では、骨が発する“メッセージ物質”が取り上げられる。
骨が分泌する代表的なメッセージ物質(ホルモン)である「オステオカルシン」には、糖尿病を改善する働きがあると指摘されている。さらに、動脈硬化や認知症などの予防効果も期待されているという。
様々な可能性を持つ骨ホルモンだが、年を取ると骨の強度が低下していくのと同様、加齢による減少が避けられない。『“骨ホルモン”で健康寿命を延ばす! 1日1分「かかと落とし」健康法』(カンゼン刊)の著者で、福岡歯科大学客員教授の平田雅人氏がいう。
「骨ホルモンは、骨を形成する働きを持つ細胞『骨芽細胞』によって分泌されていますが、加齢によってこの細胞自体が減少し、分泌量が減ってしまうのです」
骨の主成分であるアパタイトを溶かす「破骨細胞」と、新しい骨組みをつくる「骨芽細胞」が常に新陳代謝を繰り返すことで、骨は強く丈夫な状態を保っている。
「この新陳代謝のバランスが崩れ、骨芽細胞より破骨細胞の働きが強くなると、骨が脆くなり、オステオカルシンの分泌量も減ってしまう。そのため糖尿病や動脈硬化など、様々な病気のリスクが増してしまうのです」(同前)