新製品にとびつき、すでに所有しているものでもどんどん買い換える。日本人が従来持っていた所有のあり方に変化が訪れている。経営コンサルタントの大前研一氏が、即時買い取りアプリなどに象徴される、価値観の変化について解説する。
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身の回りの物をすぐに現金化できる「即時買い取りアプリ」(別名「質屋アプリ」)が話題になっている。たとえば、フリーマーケットアプリ「メルカリ」が昨年11月に「メルカリNOW」を始めたところ、買い取り希望が殺到し、わずか17分でサービスが一時停止するという事態になった。
もともとこのサービスで先行していたのは、バンク社のアプリ「CASH」である。こちらも昨年6月のサービス開始直後に利用が予想をはるかに上回り、16時間でサービスを中止せざるを得なくなった。8月にサービスを再開して以降も人気は高まり、バンク社は資金力や組織力を強化するため11月に大手ネット企業DMM.comの傘下に入ったが、その際、従業員たった6人のスタートアップ(新しいビジネスモデルを開発し、短期間で急成長を目指す会社)が70億円で買収されたことで大きな話題になった。
「メルカリNOW」と「CASH」は、いずれも売りたい物の写真をアプリで撮影してブランドとコンディションを入力するだけで査定額が提示され、それを承諾すれば即入金される。そして自宅へ集荷にきた宅配業者に売却した物を引き渡したら取引完了、という手軽さが人気の理由である。
これまでもヤフーの「ヤフオク!」やDeNAの「モバオク」などCtoC(個人間取引)のネットオークションがあった。そこにメルカリなどのフリマアプリが参入した。