ただ、見栄っぱりだけはどう工夫してもマイナスにしか働かないのだそうだ。それを踏まえて、いまは肩書きやコネではなくて「何をしているか」が重視される時代になったのだ、といったん頭をリセットする必要がある。そして、勇気を出して「下山道を切り開け」と著者はバブル世代を励ますのだ。
「なるほど」と私はおおいに納得したのに、帰りに寄った本屋でつい「至福の温泉宿」特集の雑誌を手に取り、「次の本が売れたら自分へのごほうびに」などと考えてしまった。いかんいかん、これではまだ「自信」「見栄」の世界や右肩上がり幻想から一歩も抜け出せていない……。もう一度、じっくり読み直す必要がありそうだ。
※週刊ポスト2018年1月26日号