2014年以来4年連続で年間世帯視聴率三冠王を獲得し、2018年になってからの週間視聴率でも、一度もその座を他局に譲らない日本テレビ。圧倒的な強さが目立つが、2月9日の平昌五輪開幕以後、実際にはNHKが週間視聴率三冠王をしのぐ数字を記録している。
「2016年リオデジャネイロオリンピックのときからの傾向なのですが、五輪が始まるとNHKが底力を発揮します。平昌オリンピックが始まってからは、とくに強くて、本当の三冠王はNHKだねと囁かれているほどです」(民放キー局関係者)
全日(6時~24時)、プライムタイム(19時~23時)、ゴールデンタイム(19時~22時)の世帯平均視聴率を比較し、この3つの時間帯すべてで1位をとると、そのテレビ局は視聴率三冠王を獲得したと言われる。2月5日(月)の週は7.9(全日)、11.0(プライム)、11.5(ゴールデン)、翌週は7.7(全日)、11.3(プライム)、12.1(ゴールデン)を記録した日本テレビが連続して週間視聴率三冠王を獲得した。ところが、NHKは5日(月)からの週で7.9(全日)、13.4(プライム)、14.7(ゴールデン)、翌週には9.3(全日)、14.0(プライム)、14.6(ゴールデン)を記録して上回っている。
視聴率を比較する場合、公共放送であるNHKをのぞく民放各局で競うのが通例のため、NHKは決して三冠王とは呼ばれない。そのため、日本テレビの連続週間視聴率三冠王記録が現在も続いている。
NHKの高視聴率を後押ししているのは、間違いなくオリンピック中継だ。ゴールデンタイムでは連日、二桁を記録し、スキージャンプ女子で高梨沙羅が銅メダルを獲得した12日(月)は、生中継ではなくダイジェスト映像をまとめた『デイリーハイライト』(23時20分~)で24.8%。圧巻は17日(土)のフィギュアスケート男子シングルフリー中継で、平均視聴率33.9%、瞬間最高で46.0%を記録した。
「民放にとって視聴率は業績に繋がるので死活問題。だからNHKが強すぎる数字を出し続けると、民業圧迫じゃないの? という気持ちもあります。でも、オリンピックのようにお金も人手も大量に必要なイベントの放送は、NHKじゃないとカバーしきれない。オリンピックの中継と重なっても、なんとか踏ん張って数字をとっている通常番組もあるので堪えどころです」(同前)
たとえば、2月9日(金)にNHKが放送した開会式は、19時30分からの第一部が20.8%、19.55分から22時30分の第二部が28.5%だったが、時間帯が重なるTBSの『爆報!THEフライデー』は12.0%だった。18日(日)にスピードスケート女子500メートルで小平奈緒が金メダルを獲得した中継はTBSだったが(21.4%)、『世界の果てまでイッテQ』は19.2%と健闘している。オリンピック中継だからといって、その他の番組が一方的な負け方をしているわけではない。
とはいえNHKはオリンピック中継の分量がとても多い。それは、あらゆる面で大きな負担をしていることの裏返しでもある。