オリンピック中継は国際オリンピック委員会(IOC)に放送権料を支払うことで可能になる。アメリカはNBCが2014年ソチから2032年夏季まで10大会ぶんに120億ドル(約1兆3000億円)という破格の金額を支払い、独占放送している。日本の場合は、NHKと民放によって結成されたジャパンコンソーシアム(JC)がIOCと契約する形をとるため、各局が持ち回りで中継をしている。JCは現在開催中の平昌と2020年東京で660億円を支払う契約だ。この放送権料は、各局が均等に負担しているわけではない。

「大ざっぱにいうとNHKが約半分、残りを民放各局が資本力に応じて負担しています。オリンピックの国際放送センターにあるスタジオの雰囲気が局ごとにかなり違うのは、負担額によって使用できる広さが変わるからです。中継機材やスタッフについてもNHKが半数かそれ以上の負担をしています。どの競技を放送するかは、各局の希望をとり、重なると抽選で決まります。とはいえNHKはマイナー競技でもBSなど多チャンネルを駆使してカバーしているし、CMがなくて編成を変更しやすいから途中で途切れない。視聴者も安心して見るんでしょうね」(五輪担当記者)

 普段のNHKが、視聴率で目立った存在になることはあまりない。視聴率が話題になる番組も、朝の連続テレビ小説や大河ドラマ、大晦日の紅白歌合戦くらいだ。実際、オリンピック開幕前のNHKは全日が5.9%、プライムで9.7%、ゴールデンは11.1%で、それぞれ民放5局と比較して4位、4位、2位という地味な順位だ。それがなぜ、オリンピック中継が増えたとたん、これほどの強さを見せるのか。

「時差がない韓国での開催で、生中継が見やすい。それになにより、2020年に東京オリンピックがあるから、日本の皆さんのオリンピックそのものへの関心が高まり、ふだんテレビを見ない人も中継を見ていることが数字に表れているのでしょう」(前出の五輪担当記者)

 2020年東京オリンピックには、今回以上の関心の高まりが予想される。そのとき、NHKはさらに強さを発揮するのか、民放が大胆な勝負に出ることで構図に変化が訪れるのか。

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