今までこんなに戦闘能力が高い福山雅治(49才)を見たことがない。世界的な名監督のジョン・ウー(71才)が手がけたサスペンス・アクション映画『マンハント』が2月9日に公開された。無実の罪で逃亡する弁護士役を演じた中国のスター俳優のチャン・ハンユー(53才)と、それを追う刑事役の福山のダブル主演だ。
福山主演映画となれば、本人や共演者がテレビや雑誌に引っ張りだこで宣伝キャンペーンを張るのがいつものパターンだが、今回はちょっと様子が違う。
「この作品が中国と香港の合作映画だからです。映画の舞台となった大阪の超高層ビル『あべのハルカス』では2016年6月、中国と香港メディアだけを対象にした制作発表会が大々的に行われました。日本公開に先立ち、すでに中国では昨年11月に封切られていて、公開1週間で興行収入15億円以上を稼ぐヒット。昨秋のベネチア国際映画祭でも話題になりました。日本市場だけを狙った作品ではないわけです」(配給会社関係者)
福山にとっては初めてづくしの記念すべき映画になったが、それだけに苦労も多かったようだ。まずは海外映画への初主演作品だったということ。
「ジョン・ウー監督の映画作りは独特です。台本はあってないようなもので、撮影現場で設定もセリフもころころ変わる。しかも、この映画は英語と中国語と日本語が乱れ飛びます。監督から“そのセリフは英語にして”みたいな指示はしょっちゅうでした。古くからジョン・ウー監督の大ファンで、オファーを二つ返事で引き受けたという福山さんも相当、苦労したようですよ。英語のセリフのためにクランクインの半年前から英語の個人レッスンを受けたそうです」(芸能関係者)
福山にとっては初のガンアクション映画にもなった。福山は日本の公開舞台挨拶でこう語った。
「今まで(映画で)そもそも“戦闘”をしてこなかったので、今回が初めて。拳銃を持つこともなかったので、普段から(モデルガンを)携帯して、手になじむように家でも触っていました」
劇中では、とにかく撃ちまくり。次々と襲いかかる殺し屋たちの急所を撃ち抜く姿は、“ガンアクション初心者”にはとても見えない。
「大阪市街中心部の道頓堀でジェットスキーに乗りながら撃ち合うシーンは迫力満点。このシーンのためだけに福山さんは免許を取ったそうです。スタントマンなしのロケで福山さんはアザだらけ。“これは本当に命懸けだ”と苦笑していました」(映画関係者)
中国資本ながら、福山を主演に抜擢し、大阪を中心とした日本ロケを行ったのも、ジョン・ウー監督のこだわり。というのも、この映画は、高倉健主演の日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年公開)の再映画化作品なのだ。
「ジョン・ウー監督が健さんの大ファンで、以前から高倉作品の“リメイク”を狙っていたそうです。健さんがマイケル・ダグラスと共演したハリウッド映画『ブラック・レイン』(1989年)も、大阪を舞台にした刑事モノでした。それが念頭にあって、大阪をロケ地に選んだのでしょう」(前出・配給会社関係者)