今も昔も“お友達内閣”と揶揄されるように、仲の良い政治家やお気に入り官僚だけを重用するのが安倍晋三首相の政治のやり方だ。だが、このところの人事は首相の取り巻きで「守られる者」と、「捨てられる者」の明暗が分かれている。
その境目はどこにあるのか。3つの対照的な人事から浮かび上がってくる。
◆スキャンダル閣僚の浮沈
安倍首相の人事の評価基準が「忠誠度」に重点が置かれているのはお友達政治家を見てもわかる。
かつて「日本初の女性総理候補」と持ち上げた稲田朋美・元防衛相は、失言とスキャンダルにまみれて更迭されたが、稲田氏と一緒にいわゆる“モリカケ疑惑”にまみれた萩生田光一氏は官房副長官から、自民党内で“閣僚級ポスト”とされる幹事長代行に就任した。
政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「安倍総理は稲田氏を後継者に育てようと次々に重職につけたが、能力がなくて切らざるを得なかった。それでも彼女に忠誠心があれば別の起用方法もあったが、それが感じられないから突き放したのでしょう。
一方の萩生田氏は安倍首相が白いといえば黒でも白というほど忠誠心が厚い。官邸に置けば国会で批判の対象になるから、忠誠心を評価して老獪な二階俊博幹事長のサポート役兼監視役として抜擢したのでしょう」