投資情報会社・フィスコ(担当・田代明美氏)が、株式市場の2月26日~3月2日の動きを振り返りつつ、3月5日~3月9日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落。週前半は理想的なリバウンドをみせていたが、週半ば以降は一変、下落基調が強まり、2月半ばに付けた直近安値水準までの下落となった。週初は、前週末の米国市場でセントルイス連銀総裁が年4回の利上げに懐疑的な見方を示したことを受けて債券利回りが低下、これを材料視する格好からNYダウは347ドル高となり、この流れが日本株市場へ波及した。さらに週明け26日の米国市場は長期金利の上昇が一服し、ハイテク株が選好される流れからNYダウは一時400ドルを超す上昇となり、これを受けた日経平均は一時節目の22500円を回復する局面もみられた。
しかし、注目されたパウエル議長の議会証言では、議員らとの質疑応答で米経済の力強さとインフレ見通しへの自信について言及し長期金利が上昇。これを嫌気した米国市場にひきずられる格好から調整色が強まった。ただ、それでも直近の上昇に対する反動の範囲内であったが、28日の321円安に続いて、3月1日は343円安、さらに週末2日には1日の米国市場でNYダウが400ドルを超える下落となると、日経平均は542円安となり、3日間の下落幅は1200円を超えた。
トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに商務省の提言を上回る25%と10%の輸入関税を賦課する計画を明らかにし、保護貿易への懸念から波乱の展開となった。ただし、きっかけとはなったものの、このところは日中に断続的なインデックス売りから不安定な相場展開が続いていた。この流れが日本だけではなく、他のアジアや米国、欧州でも同様の流れであり、金融正常化の流れが意識されるなか、長期的に資金流入が続いていた株式市場からの資金を圧縮する動きが出ているようである。
日本については金融緩和観測が継続するものの、出口戦略を意識したスタンスである。日銀が国債買いオペを減額したことが伝わると売り圧力が強まるといったところである。週末についても大引けにかけて下げ渋るなか、「日銀総裁:19年度ごろ出口を検討していること間違いない」とのヘッドラインが出ると、債券先物売り/為替やや円高の反動が出ており、再び下げ幅を広げていた。