今、ディレクターがタレントのように出演者となり、世界を旅する番組が増えている。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の後枠でも、こうした番組が始まる。いったいなぜなのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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先日、今月いっぱいで終了する『めちゃ×2イケてるッ!』の後番組に、『世界!極タウンに住んでみる』が発表されました。新番組は1月19日に放送された特番のレギュラー化で、「世界の驚くほど極端な街=“極タウン”にディレクターが潜入する」という体験型バラエティー。ディレクターが現地に住み込んで撮影することを売りにしています。
「ディレクターが世界を旅する番組?」と聞くと、いくつかの番組名が浮かぶ人も多いでしょう。現在、『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)、『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)、『世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝』『ヒャッキン~世界で100円グッズ使ってみると?』(ともにテレビ東京系)など、多くの番組で「ディレクターが出演者のような立場で世界を旅する番組」が増えているのです。
かつては『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『世界の村で発見!こんなところに日本人』(テレビ朝日系)、『世界の村のどエライさん』(フジテレビ系)のような「タレントが世界を旅する番組」ばかりでしたが、なぜ現在のような状況に変わったのでしょうか。
◆タレントを外すことで、思う存分撮影できる
ディレクターが顔出しで世界を旅する番組が増えているのは、多くの理由があります。
まず世界を旅する番組が増えているのは、ファミリー層の視聴者を手堅く取り込めるから。子供から大人まで全世代が視聴ターゲットになるため、安定した視聴率と評判を得られますし、特に新番組が放送される土曜20時台は「ファミリー層の支持を得ることが成功の近道」と言われています。また、グローバル化を進める企業を中心に「スポンサー受けがいい」のも、世界を旅する番組が選ばれやすい理由の1つと言えるでしょう。
次に、ディレクター自らが旅するメリットの最たるものは、制作費の安さとリスク回避。タレントの出演費がかからないほか、撮影機材がコンパクトになったことで渡航・輸送費が大幅に削減できるようになりました。
また、タレントに病気やけがを負わせる不安がない上に、現地での撮影スケジュールも小回りが利くため、ディレクターとして納得がいくまで撮影が可能。タレントのスケジュールに縛られなくて済み、現地でケアする労力も省けて撮影に集中できるなど、いわゆる「撮れ高が足りない」というリスクを回避できるのです。
さらに、タレントではなく一般人のディレクターが旅することで、現地の衣食住すべてが視聴者と同じ目線になるのもメリットの1つ。実際、某ロケ番組のプロデューサーが、「知名度の低いタレントを使うくらいなら、ディレクターのほうが視聴者は見やすい」「ディレクターの旅する番組に視聴者が慣れて抵抗がなくなった」と話してくれました。
◆現地の人々や生活をダイレクトに体感できる