生え抜きの若手の台頭によって、昨季と比べて大きく変わったのがスタメンの総年俸額だ。
「昨シーズンに主力として出場した面々を見ると、内野では年俸2億6000万円(推定、以下同)だった阿部、2億2000万円の村田修一(37)らがポジションを占めていた。それが今季は岡本が年俸1200万円、吉川(尚)が1300万円ですから、相当安上がりになっている。さらに外野で年俸3億円の陽が抜けて、2400万円の中井が入った。
巨人には、FAで獲った選手や外国人選手の存在によって生え抜きの若手が活躍の機会がないという“構造問題”がある。首脳陣もそれは認識しているから昨年も、開幕時点では岡本をスタメンに起用するなど若返りを図っていた。ただ、結果を出せないとみるとすぐに使うのをやめてしまった。岡本も昨季は4月中旬には二軍送りになり、一軍出場15試合にとどまった」(球団関係者)
だからこそ、開幕直後から岡本が“大爆発”したことには大きな意味がある。これで一気にチームの新陳代謝が進む可能性があるのだ。城之内氏はこういう。
「峠を越えたベテランから若手への切り替えは、いつの時代もチームの監督を悩ませるものです。一気に切り替える最大のチャンスは、今回の岡本のような選手が出てきた時です。うまくいけばチームは力強く生まれ変わる。
私が入団した1962年は2リーグ分立後初の4位に沈み、川上哲治監督はそこで選手を19人も入れ替える大改革を実施。その若手を鍛え、1965年からのV9が生まれた。高橋(由伸)監督も、岡本だけでなく、足がある吉川(尚)も使い続けてほしいし、昨年のドラフト3位の大城卓三(25)や同5位の田中俊太(24)といった選手も積極的に使ってみてほしいですね」
※週刊ポスト2018年4月20日号