4月1日に始まった大相撲春巡業は、前売りチケットが完売するなど盛況が続いている。ただ、そこに貴乃花親方の姿はない。「5階級降格」という屈辱を味わった“平成の大横綱”。その姿に、「理事長になれなかった“昭和の大横綱”」を重ねる角界関係者は少なくない。
著しい功績のあった横綱にのみ、引退後も親方として現役時代の四股名を名乗り続けることが認められる。それが「一代年寄」だ。
2003年に30歳で引退した貴乃花親方は大鵬、北の湖(ともに故人)に続く3人目の一代年寄となった。
ただ、昨年11月に発覚した元日馬富士による暴行事件を機に、協会内での立場は大きく変わった。親方衆の“トップ10”にあたる「理事」から、最も低い階級の「年寄」まで降格された。
さらには、盛況が続く春巡業からも“排除”された。3月末、新たな職務分掌が決まり、貴乃花親方は審判部に配された。
「地方巡業に帯同する審判部の親方衆は“各一門から1人ずつ”というのが慣例。今回、貴乃花一門から審判部に配されたのは、審判部長の阿武松親方(元関脇・益荒雄)を除くと貴乃花親方だけ。にもかかわらず、協会は、“暴行を受けた力士らのケア”を理由に巡業に帯同させなかった。
新たに巡業部長になった春日野親方(元関脇・栃乃和歌)が、現役時代の実績も人気も圧倒的に上の貴乃花親方と同じ場に出ることを嫌がったということでしょう。ファンの目は当然、貴乃花親方に向きますからね。貴乃花親方は再スタートをアピールする機会を奪われた」(協会関係者)
そうした動きを見て、古くからの後援会関係者の一人は「このままでは貴乃花が“第2の大鵬”になってしまう……」と呟いた。