市区町村によっては杖をはじめ、緊急通報システム機器、補聴器、おむつなどを、必要とする高齢者に対し、無料あるいは低料金で支給するところもある。各自治体の高齢福祉課などに問い合わせを。
◆前向きに使いこなしてこそ。福祉用具は本人の意志で
確かに杖や手すりは心強く、配慮された靴は安心だが、老いに負けたようで抵抗感を感じる高齢者も少なくない。
「杖など使いたくない、ヒール高めのおしゃれな靴を履き続けたいというのも自立生活への意欲の1つ。そんな気持ちもとても大切です。
また長年のクセや習慣は、特に高齢になればなかなか変えられません。これらを無視して、理論上の安全や機能性をそのまま押しつけても、必ずしも快適とは限りません。
よい機能が備わったモノを探す・選ぶというのではなく、使う人の衰えや困りごとにまず目を向け、選んだものが使いこなせるかどうか、うまく使えなければどんなフォローが必要かといったところまで考えたいですね」
そんなとき、要介護者の状態を理解し、多くの福祉用具の情報を持ってアドバイスしてくれるのが山上さんのような福祉用具専門相談員だ。公的介護保険サービスの専門職で、福祉用具貸与・販売事業所に配置されている。
「手すりや杖、車いすなどの一部の福祉用具や、住宅改修の一部は、公的介護保険が使えるので、ケアマネジャーさんを通して、あるいは直接、保険適用外の用具について相談を受けることも。介護の現場では、福祉用具をはじめ、モノは大きな力を発揮します。介護予防や高齢家族のための情報収集に、ぜひ福祉用具貸与・販売事業所をのぞいてみてください」
福祉用具は、福祉用具貸与・販売事業所のほかデパートやホームセンターなどの介護・福祉用品売り場で、主にカタログで見ることができる。
※女性セブン2018年5月3日号