“長い人生”を想定する以上、まとまった出費はできる限り避けたい。なかでも注意したいのが「相続税」だ。2015年の税制改正で基礎控除が大幅に削られ、一般家庭も課税の対象になった。政府が課税強化を進めていることもあり、正しかったはずの資産防衛策が、「間違った対策」に変わっていることも間々ある。Q&A方式で解説しよう。
【Q】妻への“おしどり贈与”は得なのか?
節税対策の“王道”が生前贈与だ。年間110万円までが非課税となる。加えて、結婚して20年が経過した夫婦間で自宅、もしくは居住用の不動産を購入するための資金の贈与をする場合、最大2000万円まで非課税となる通称“おしどり贈与”も有名だ。
だが、円満相続税理士法人代表・橘慶太氏は恩恵は「極めて限定的」だとする。
「おしどり贈与を使って自宅の持分を贈与した場合、贈与税はゼロでも、不動産取得税と登録免許税がかかります。2000万円の土地を贈与した場合、約70万円の税金が課せられます。妻が夫の自宅を相続する場合、『小規模宅地の特例』を使って、自宅の土地の評価額を8割減らせるので、こちらの方が節税効果は大きいことがほとんど」