公開されたパスポートの写真には、明らかに金正恩氏と判断できる顔写真が添付されている。記載されていた偽名は、「ジョセフ・パク」。筆者が2012年に得ていた情報と見事に一致した。
金正恩は1991年、兄・金正哲と来日。さらに、金正恩のサポート役として公式登場した妹・金与正にも来日情報がある。未確認情報だが、この分だと来日していた可能性は高い。
ロイター通信は、偽造パスポートの目的について「亡命の準備か」などと指摘しているが、単純にロイヤルファミリーとしての見聞を広める、もしくはお忍びの遊びに過ぎないだろう。なによりも3兄妹の実母は大阪鶴橋生まれの高ヨンヒだ。ルーツを追い求めて母の故郷を訪れたのだろうか。
高ヨンヒは、北朝鮮の身分としては底辺である在日朝鮮人から金正日の妻、つまりファーストレディーに登り詰めた。1973年には万寿台芸術団の主役の踊り子として凱旋来日。1997年と2000年にも来日して銀座でショッピングを楽しんだというが、その際、興味深いある場所を訪れている。
当時京都・嵐山にあった「美空ひばり記念館」に寄ったというのだ。高ヨンヒと美空ひばりに繋がりがあるとは思えない。なぜ高ヨンヒは美空ひばり記念館に寄ったのだろうか。
謎を解くヒントの一つは、彼女が帰国した時期だ。高ヨンヒは1962年、9歳の時に北朝鮮に帰国した。この時期、美空ひばりは歌手だけでなく銀幕のスターとしても絶頂期を迎えていた。