スポーツ

メドベージェワ 掟破りのコーチ変更で女王に返り咲けるか

平昌五輪でのメデドベージェワとザギトワ、エテリコーチ(時事通信フォト)

◆親子のような師弟関係はなぜ崩れたか

 フィギュアスケート選手がコーチを変えるのは決して珍しいことではない。ゆえに、ロシアのエフゲニア・メドベージェワ選手(18)のコーチ変更が大ニュースとして世界中を駆け巡ったのには理由がある。

 第一に、彼女がトップ選手であることが挙げられるだろう。先の平昌五輪では、五輪前に負った怪我の影響もあって銀メダルだったが、2016年、2017年と世界選手権で優勝。ジュニア時代から、女子フィギュア界の若き女王として君臨してきた。

 第二に、決別することになったエテリ・トゥトベリッゼコーチとは、11年間にわたって固い絆で結ばれた親子のような師弟関係を築いている、と思われてきたからだ。実際、ロシアのドキュメンタリー番組などで仲むつまじい姿を見せていたし、平昌五輪でも、銀メダルに涙を流したものの、すぐに、エテリコーチと、金メダルに輝いたかつての同門アリーナ・ザキトワ選手(15)と笑顔で写真におさまっていた。

 しかし笑顔の裏で、メドベージェワ選手に別の思いが去来していたことは、エテリコーチの発言で明らかになる(後述)。エテリコーチによると、移籍の報道が出た頃、メドベージェワ選手とは連絡がとれない状態にあったという。11年間の絆にもかかわらず、二人の間で移籍についての話し合いはなされてなかったことがうかがえる。

 そして第三に、新しく指導を仰ぐのが、カナダのブライアン・オーサーコーチという点だろう。これがロシア国内のコーチであれば、ここまで大きな議論を巻き起こさなかったに違いない。

 ロシアとカナダ(北米)は伝統的にフィギュアスケートのライバルだ。平昌五輪の団体戦でも、カナダとロシアはメダルを争い、カナダが金メダル、ロシアが銀メダルとなった。バレエ技術に裏打ちされたクラシカルなロシアフィギュアに対し、軽妙洒脱、進取の気性に富んだカナダフィギュア。両者が切磋琢磨することでフィギュアスケートが進化してきたことは確かだ。

 だが、ロシアにとってみれば、自国のスターがカナダへ移るのを容易には受け入れられない面もあるのだろう。オーサーコーチ自身も、メドベージェワ選手から連絡があった時、「信じられないことが起きた」と、チームメンバーに驚きを吐露している。最終的にメドベージェワ選手はロシアのスポーツクラブ「サンボ70」に籍を残したまま、オーサーコーチの下で練習を積んでいくと発表された。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン