こうした事態に対応し、韓国では、ネット中毒予防センターを設け、ネット解毒プロジェクトというのが作られた。「解毒」という言葉が使われている。それだけ問題が深刻ということだ。そして、これは日本を含む世界中で大きな問題となっている。
WHOでは、国際的な病気の基準である国際疾病分類第11版(ICD-11)に、「ゲーム障害」という項目を加えると発表している。主な症状は、「ゲームをしたい欲求を抑えられない」「ゲームをすることをほかの日常生活の活動よりも優先してしまう」「家族関係、仕事、学習などに重大な問題が生じていてもゲームをやめることができない」など。これらの症状が12か月以上続いた場合、ゲーム障害と診断される。ただし、若い世代ではもっと短い期間でも依存症とみなされる。
最近は、ベビーカーに乗った乳幼児が、スマホで遊んでいる光景もよく見る。ベネッセ教育総合研究所の調査では、0歳児の20%が「ほぼ毎日、スマホを見ている」という。親にも言い分はあるだろうが、もし、将来のスマホ依存の素地をつくっているのだとしたら、慎重になったほうがいい。
スマホ依存になりやすい人について、レバノン大学がおもしろい研究をしている。大学生688人を対象に分析した結果、心理学で言うタイプAの人たちがスマホに依存しやすいことがわかった。
タイプAの特徴は、負けず嫌い、せっかち、攻撃的、チャレンジング。スマホの新しさに夢中になって、使いこなそうとするのだが、いつの間にかスマホに時間を奪われ、操られるようになってしまうのだろう。タイプAは、ビジネスの世界で成功している人が多いといわれている。ストレスを受けている自覚が薄く、がむしゃらに突進していく。心臓や血管の病気が多いタイプともいわれている。