「夫やパート先の上司を見ても実感しますが、男性って50代になってもまだまだ野心があるものだし、ちょっとでも手柄をたてるとすぐに自慢してくる人が多い。でも“恋雨”(映画『恋は雨上がりのように』)の店長は45才にして、誰が相手でも否定せず静かに見守ってくれる。それでいてぽろっと漏らすセリフから、いろんな人生経験があったんだなと感じさせる。ヒロインのあきらちゃんでなくても惚れちゃいますよ」(福岡県・46才・主婦)
「店長の近藤さんにキュンときました。彼は自称“夢も希望も何もない、空っぽの中年”というしょぼくれたおじさんだけど、実は密かに夢を持っているじゃないですか。空っぽじゃないから他人にそこまで立ち入らないし、余裕があるのかなって。自分の気持ちをがんがん押しつけてくる主人を見るたびに、店長だったらな~…と妄想しちゃいます(苦笑)」(静岡県・44才・主婦)
映画『恋は雨上がりのように』に出演している大泉洋(45才)にハマる女性が続出している。大泉演じる近藤正己とは、45才、バツイチ子持ちのファミレス店長。客からのクレームにはとにかく平謝りし、アルバイトからは体臭が臭いと笑われ、女子高生と会話をしただけで痴漢呼ばわりされる、いわゆる“さえないおじさん”だ。しかしそんな店長に、女子高生の橘あきら(小松菜奈・22才)は密かな恋心を抱いている。けがにより陸上の夢を絶たれたあきらが、雨の日、偶然入ったファミレスで優しく声をかけられたその時から──。
今、しょぼくれ男がアツい。コラムニストの西森路代さんがその人気の理由を解く。
「女性と目が合うだけで“おれ、モテてる”と思う“勘違い男”とは真逆で、大泉さん演ずる店長は、女子高生にじっと見られると、嫌われたのかな? 怒らせたのかな?と不安に思う人。自分がしょぼくれていることを自覚しているから、勘違いをしないところがいいんですよね」
近年、大泉の店長役のほかにも、しょぼくれ男は当たり役が多い。『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で吉田鋼太郎(59才)演じた、部下に想いを寄せるかわいいおじさん・黒澤武蔵。『陸王』(2017年・TBS系)で志賀廣太郎(69才)演じた、味のあるゲンさん役。映画『いぬやしき』で木梨憲武(56才)演じた、実年齢より老けて見える残念な犬屋敷壱郎役。そして『孤独のグルメ』(テレビ東京系)で松重豊(55才)演じた井之頭五郎役がそうだ。