「松重さんの五郎は、仕事はこつこつ地道にやるけれど、出世欲はなくて、ひとりで黙々と食べている時が幸せというサラリーマン。松重さんはやくざや刑事役もたくさん演じてこられたけれど、私は五郎のしょぼくれているけど自由な姿が好きですね」(西森さん)

 その流れを受けてか、かつて一世を風靡したトレンディー俳優も、続々としょぼくれ男を演じるようになった。

 ドラマ『未解決の女』(テレビ朝日系)では吉田栄作(49才)が白髪やしわなど老いを隠さぬまま“しょぼくれた大学教授”を熱演。

 舘ひろし(68才)も最新作となる映画『終わった人』(6月9日公開)で、定年を迎えて趣味なし、夢なし、わが家に居場所なしというしょぼくれサラリーマン役を演じている。マーケティングライターの牛窪恵さんは言う。

「舘さんのイメチェンは象徴的ですよね。実は40~50代の中には、若い頃の舘さんが苦手だったという人が結構いるんです。舘さんの代表作『あぶない刑事』(1986年・日本テレビ系)の“タカ”のギラギラしたイメージが強すぎたんでしょうね。でも最近の舘さんは枯れたお父さん役や、出世から見放された役も演じるようになった。昔より母性本能をくすぐられると、彼女たちは目を細めます(笑い)」

 世の女性は年上のしょぼくれおじさんになぜハマるのだろうか。10年前には、年齢を受け入れ、ほどよく枯れている50代以上のおじさんが魅力的だとして20~30代の女性を中心に「枯れ専」ブームが起き、『カレセン︱枯れたおじさん専科』(アスペクト)なる書籍も発売された。今のしょぼくれ男ブームとの違いはあるのだろうか。西森さんは言う。

「最近の#metooムーブメントでもわかるように、今は多くの女性がセクハラやパワハラ問題を意識していて、自分が偉いと思っていたり、権力を盾にする男の人は嫌だという風潮があります。だから、どんなに物腰が柔らかくても、教えてやるという“上から目線”の態度が透けて見える男性は嫌われますね。

 枯れ専というのは“枯れた”という言葉通り、1回は咲いていた、男としてブイブイいわせていた人をさしていたように思います。でもここでいうしょぼくれ男は、一度も人生で花を咲かせたことがない。だから全然偉そうじゃない。女性たちはそこに安心感を覚えるんじゃないでしょうか」

※女性セブン2018年6月21日号

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