「もちろん患者が画像報告書を確認したからといって、がんを発見できるわけではありません。画像を見せられたらコピーをもらって、別の病院でセカンドオピニオンを受けるなり、検診を毎年受け続けるといった自衛策を考えるべきでしょう」

 現在、医療の高度化に伴い、専門領域に特化した医師が求められているが、そこにも皮肉な弊害があると秋津氏は指摘する。

「専門性を高めた結果、データや数字などの詰め込み型になっていて、医師が肝心の患者を見ていないように思います。専門医ほど“木を見て森を見ず”の医療になっているのではないか。

 画像診断は軽視しすぎてもいけないし、重視しすぎても問題です。我々は、特定の部位や疾患に限定しすぎず、目の前の患者の変化や訴えに向き合うという“医師の基本”に立ち返らなければいけない」

 患者の側も画像診断で「問題なし」だったと安心することなく、自らの身体の調子を把握し、変化を医師に伝えるように心がけたい。

※週刊ポスト2018年6月29日号

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