日本代表が決勝トーナメント進出を決め、盛り上がるサッカーW杯。テレビでも、ワールドカップ特集が花盛りだ。しかし、内容によっては視聴者から批判を集めるものも。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが各局のW杯特番について解説する。
* * *
日本代表の躍進とともに、サッカーワールドカップロシア大会のテレビ中継が注目を集めています。盛り上がっているのは、連日の試合中継やダイジェスト番組、試合前の応援番組だけではありません。
報道・情報番組で長い時間を割いて、ワールドカップの特集を組んでいるのです。特筆すべきは、民放各局が朝から夕方まですべての報道・情報番組で特集が組んでいること。主な視聴者層が主婦や中高年であるにも関わらず、サッカーの専門的な特集を連日放送しているのは異例の状況と言っていいでしょう。
なかでも気になるのは、キャスター・ゲスト・解説者の人選と、特番の企画。各局の狙いが見えるとともに、視聴者から賛否の声が飛び交い、明暗が分かれつつあるのです。
◆サイドストーリーとバラエティー企画に賛否
各局のキャスターは、サッカー番組の出演者やサッカーフリークなど、視聴者のイメージに合致するタレントをそろえました。
テレビ朝日は、サッカー番組の顔である矢部浩之さんと川平慈英さんの2人に加えて、中継プレゼンターに村上信五さんを抜てき。日本テレビはメインキャスター・手越祐也さんとスペシャルキャスター・明石家さんまさんのアイドル+芸人というバラエティー色の濃い布陣。
TBSはメインキャスターに長年『スーパーサッカー』のMCを務める加藤浩次さん、スペシャルサポーターにかつて本気でプロを目指していた竹内涼真さんを指名。スポーツ番組への出演が少ない旬の若手俳優を起用して、フレッシュな風を吹かせています。
フジテレビはMCにジョン・カビラさん、NHKはスタジオキャスターにJリーグ名誉マネージャーの佐藤美希さん。ともにサッカーファンにはおなじみの2人であり、キャスティングに違和感はありません。
佐藤さんが何度か言い間違いをしたことで、ネガティブな声も挙がりましたが、もともと日本サッカー界への貢献度が高く必然性のあるキャスティングのため、大きな影響はないでしょう。それよりも、視聴者から賛否の声が飛び交っているのは、ゲストや特番に関することだったのです。
テレビ朝日は、試合のハイライトを見せる番組のゲストに綾小路きみまろさん、あき竹城さん、大久保佳代子さん、指原莉乃さんを迎え、「ワールドカップ珍事件簿」「初心者サッカー講座」「イケメン総選挙」「知られざるちょっとイイ話」などを放送。今大会からかけ離れたバラエティー色の濃い企画が、サッカーファンからの批判を集めてしまいました。
日本テレビは、日本代表の試合直前に特番を放送。ゲストに桐谷美玲さんらを迎え、丸山桂里奈さんによるパブリックビューイング会場のレポートに加え、「本田圭佑はロシアでどれほど有名か?」「現地の占い師が勝敗予想」「大迫ハンパない伝説」「妻・平愛梨が見た長友佑都」「乾貴士、息子との約束」などを放送しました。いずれも日中のワイドショーで放送している企画とほぼ同じだけに、視聴者の反響は今一つのようです。