レジェンド、ワールドカップ経験者、現役選手まで、その人選は多彩ですが、サッカーファンも、そうでない人も、「的確でわかりやすい」「親しみやすく、無意味な毒がない」解説を求めているのは同じ。日本代表が活躍している現在は、「朝から夜までサッカー解説者が番組をハシゴ出演している」という状況になっていますが、ある民放の番組スタッフは「ただ起用しているのではなく、彼らのトークを見極めている」と言っていました。
今後、決勝トーナメントで日本が敗退したら、必然的にサッカー解説者の数は絞られていくでしょう。その意味で、一気に解説者の数が増えた今回の大会は、彼らのサバイバルマッチでもあり、解説者も生き残りを賭けた決勝トーナメントを戦っていくのです。
勝ち進むほど、報道・情報番組でのコーナーが増え、新たな特番も企画されるなど、彼らの仕事が増えるのは確実。それだけに、日本代表が勝ち続けることを一番願っているのは、もしかしたら視聴者よりもサッカー解説者なのかもしれません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。