新築マンション市場に停滞感が深まっている。
2013年以来、新築マンション市場はにわかな価格上昇に見舞われた。首都圏や近畿圏の一部では地域限定で大きく価格が上昇して、局地バブル状態となっている。そういったエリアで供給されている高額物件の販売が停滞するのは、ある意味で当然の現象である。高くなりすぎて、富裕層でも手が届きにくくなったのだ。
しかし、そういった都心を中心とする「局地エリア」以外の、価格の上昇がさほどでもない郊外エリアにおいても、販売が順調ではない物件が多い。なぜだろうか?
2008年9月のリーマンショックによる不況が始まる以前、新築マンション市場の主役は、郊外に立地する大規模なファミリーマンションだった。都心のターミナル駅から急行や快速を利用して30分以上。駅からは徒歩10分以上か、あるいはバス便を利用しなければならないマンションだ。
広い敷地に単純な配棟計画。駐車場は100%設置で、月々の利用料が「500円から」というのも珍しくなかった。敷地内にはプールがあったり体育館が設けられたり、豪華共用施設のオンパレード。そういう大規模マンションが、今と比べれば考えられないくらいによく売れていた。
今でも、そういったやや時代遅れな印象を醸す大規模マンションが、数は少なくなったが開発はされている。しかし、販売が好調だとは聞かない。
今や企業業績も株価もかなり回復。雇用情勢はかつてないほど良好な状態で、幅広い業種で人手不足が顕著になっている。パートなどの時給もじりじりと上昇。不況感はすっかり消えてしまった。
しかし、郊外の新築マンションの販売はとても好調とは言えない。その理由は、どうやら5年から10年単位の世代間格差にありそうだ。