もはや日本は北朝鮮の独裁者から相手にされず、蚊帳の外に置かれているという酷評など、微塵も気にしていない。官邸関係者を前にした今井の毒舌はこう続く。
「金正恩なんて世界のリーダーからすれば、若造でしかないから、中国もソ連(ロシア)も軽く見ていると思うよ。で、その習近平やプーチンとパイプを持ち、トランプに対してドナルド、晋三と呼び合えるのは、安倍総理だけ。つまり、日米中ソのなかで日本の安倍総理が主役になれる。蚊帳の外なんかとんでもない。いまや先進国の外交はトップダウンで、外務省ルートのボトムアップ外交は時代遅れなんだよ」
そして、外務省批判も忘れない。
「谷内さんや秋葉さん、外務省の連中が安倍さんのところにやって来てプロっぽいことを言っている。けど、官邸の考えとはけっこうズレているんだな。米国にはクシュナーをはじめ、いろんなチャンネルがあるから、これまで水面下の話し合いはほぼパーフェクトじゃないかな。拉致のことは、外務省の連中より安倍さんのほうがよほど詳しいからな。だから、ぜんぶ自分(安倍自身)で考えて結論を出せるんだ」
だが、実態はそうではない。たとえばトランプの娘婿であるジャレッド・クシュナーとのパイプは、佐々江賢一郎とその部下が駐米大使として築いたものだ。官邸だけでパーフェクトに外交を進められるとはとても思えない。「外交の安倍」と華々しく打ちあげた花火は、その実、これといった成果もない。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号