都電荒川線「荒川遊園地前」から徒歩3分、釣り堀や動物とのふれあいコーナーも備えるほのぼの遊園地として知られる荒川区立「あらかわ遊園」には、「ふれあいハウス」という名前の下町都電ミニ資料館がある。鉄道愛好家たちによる活動から始まったふれあいの場所が、広く親しまれる場へと発展した歴史を、ライターの小川裕夫氏がレポートする。
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東京・荒川区にあるあらかわ遊園は、23区で唯一の区立遊園地として知られる。今般、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといった各地のテーマパークは大規模化する潮流にあるが、あらかわ遊園はそれらと一線を画し、未就学児童でも楽しめるアトラクションが多い。
そんなあらかわ遊園の一画には、往年の名車両である6000形が静態保存されているほか、2011年には下町都電ミニ資料館がオープンした。
同館は“都電”の名前がついているが、館内には都電以外の鉄道模型やおもちゃ、資料がギッシリと並び、日曜日限定の鉄道模型の運転には毎月1000人を超えるチビっ子が夢中になる。
チビっ子たちの運転をサポートするのは、あらかわ遊園の職員ではない。「のぞみ会」と呼ばれる鉄道愛好団体のボランティアスタッフたちだ。
のぞみ会は、下町ミニ資料館の前館長・伊藤信男さんが約30年前に独力で立ち上げた。発足当初、のぞみ会は伊藤さんが自作したレイアウトをイベント会場に持ち込み、来場者を楽しませていた。伊藤さんのレイアウトは自然に評判になり、レイアウトは少しずつ大きくなった。