11週連続で視聴率20%の大台を超え、好調が続くNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』少女漫画家を目指していたヒロイン鈴愛(永野芽郁)がその夢を諦めてから、100円ショップ勤務、映画監督を目指す男性との結婚、出産と目まぐるしい展開が続くが、このドラマの“隠れテーマ”はヒロインを取り巻く「夢追い男」だと、コラムニストのペリー荻野さんは指摘する。以下、ペリーさんが解説する。
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それにしても先が読めない朝ドラ『半分、青い。』。当初は、ヒロイン鈴愛(永野芽郁)と、幼なじみの律(佐藤健)のすれ違いラブストーリーかと思いきや、途中から鈴愛の漫画家奮闘お仕事ドラマのようになり、それがあっさり終わると、バイト先の100円ショップで運命の彼・涼次(間宮祥太朗)と出会ってすらすらと結婚。涼次を育てた三姉妹(キムラ緑子、麻生祐未、須藤理彩)も巻き込んでのホームドラマに。そして、鈴愛と涼次に第一子誕生で今度は、実家、友人総動員の子育て奮闘記に!?
朝ドラでは、これまでにもヒロインの成長に従って、少女から大人の女性、さらには母親と変化していくことはあったが、『半分、青い。』のように、ラブストーリーからお仕事ドラマ…というようにドラマ全体の雰囲気がくるくると変化する例はなかった。
そんな中、私はこのドラマの「隠れテーマ」というべきものに気がついた。それはドラマを引っ張っているのは、ヒロインではなく、「夢追い男」であるということだ。漫画家を目指した鈴愛が出会ったのは、人気漫画家・秋風羽織(豊川悦司)。鈴愛が持ち込んだ「五平餅」のほれ込んだ彼の判断によって、鈴愛は秋風のもとで修行し、デビューし、挫折する。秋風は、夢を追い、成功した人物だが、彼は突然、鈴愛の故郷を訪問したり、陰で鈴愛の作品を支えたり、大きな存在となって動く。
その後、出会った涼次は、芸術的作品で一度は注目を集めたが、その後、鳴かず飛ばずの映画監督・元住吉祥平(斎藤工)の身の回りの世話をしつつ、助監督から映画監督を目指す夢追い男だ。そもそも祥平が夢追い男でその男を追うという二重の夢追いにも見えた涼次。売れっ子作家(若村麻由美)の小説を脚本にしたことを認められ、「監督デビューするんだ!」と喜んだのもつかの間、祥平が監督になってしまって、大挫折。だが、鈴愛の妊娠を知って「目が覚めました」「映画はやめる」と宣言。糸電話でおなかのベビーに話しかけるなど熱烈パパぶりを発揮し、これで落ち着くかと思ったら、またまた「映画の世界が俺を呼ぶんだ!!」…って、おいおい。