今年5月、ジャニーズ事務所から4年ぶりにCDデビューした「King & Prince」。デビュー曲のCD売り上げが60万枚を突破、新曲は11月公開の映画『ういらぶ。』の主題歌に抜擢されるなどその活躍ぶりは目覚ましい。ファン以外にも認知されている彼らの愛称「キンプリ」は、ジャニー喜多川社長が名付けたデビュー前のグループ名「Mr.King vs Mr.Prince」から生まれたもの。
ジャニーズ事務所のグループ名といえば、KAT-TUN、Kis-My-Ft2など、“初見”では読みにくいものも多くあり、「ダサくない?」「イケてる!」とファンならずとも話題になる。そんなグループ名の多くを名付けたのはジャニー社長といわれる。そのネーミングセンスは、流行を作り出すプロの目にはどう映っているのだろうか。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんに尋ねると「ジャニー社長は天才コピーライターです」と断言した。その理由を明らかにしていく。
【メンバーさえ驚く意外性】
ジャニー社長にグループ名を与えられた時、「それはちょっと…」と感じるメンバーも少なくないという。メンバーたちをも驚かせる、その意外性が大切だと原田さんは言う。
「コピーライティングには意外性が必要です。たとえば、私ごとで恐縮ですが、ぼくが名付けた“マイルドヤンキー”は、“マイルドなヤンキーってどういうこと?”と、若干ダサさもありながら、話題になりやすく、意外性もあって広がっていったんだと思います。ジャニーズも“なんだ、このグループ名は?”と話題になっていくうちに、だんだんなじんでいきますよね。最初から当たり前のものを出しても、なかなか定着しないんです。
コピーライターは、“冒険”したいと思いながらも周りの意見を聞くうちに妥協してしまい、平凡なものになりがち。ここまで思い切ってできるのは、ジャニー社長のネーミングセンスのなせる業だと思います。入社1年目のコピーライターは、“SMAP”とか“嵐”なんて名前はつけられません」(原田さん・以下「」内同)
【ファンの団結力が強まる効果】
サブカルチャーなどにおいては、マイノリティゆえにグループのファン同士の絆が強い場合がある。ユニークなグループ名のファンたちには、それと同じ現象が起きることがあるという。
「変わったグループ名の場合、“なんかこの名前、変じゃない?”という声がファン以外のところからあがって、定番化するのに時間がかかります。その間に、ファンたちの団結力が強まるんです。“こんなに素敵なのに”“こういう意味が込められた名前なのに、みんな知らないのね”って。ジャニーズのファンは大勢いますが、“自分たちが応援しなきゃいけない!”とファンたちに錯覚させるんです」
【インナーモチベーションを高める】