老化防止にいいとされるビタミンEと食物繊維が摂取できるなど、健康訴求を軸にじわじわと人気になり、2017年の販売額は41億円。4年前の26倍にまで伸びたという。まだ国内での市場規模は豆乳と比べるステージにはないが、認知は確実に伸びている。昨年には日本のスターバックスでも期間限定ながら、カスタマイズの選択肢としてアーモンドミルクを取り入れた。
その他、ライスミルクや古参のココナッツミルクなど、新旧入り乱れた植物性ミルクブームが市場を賑わせている。動物性の乳アレルギーを持つ人にも優しく、コレステロールや脂質、栄養面からの評価も高い。
もっとも、追い風ばかりではない。豆乳やアーモンドミルクなどの「植物性ミルク」を流行らせたアメリカでは名称から「ミルク」を排除させようという動きがある。
昨年、酪農の盛んなウィスコンシン州選出の議員が非乳製品への「ミルク」という言葉の使用を禁止しようという法案を提出した。このとき法案は通らなかったが、この7月には、米食品医薬品局(FDA) のスコット・ゴットリーブ長官も「ミルク」という言葉の使用について規制したいとの意向を示し、乳製品関係者と植物性代替推進派との間で論争が起きているという。
利害関係者の理屈が優先され、耳慣れた名称が変わってしまうのには違和感もある。例えばその昔から長らくその名で呼ばれてきたココナッツミルクはどうなるのか。万一のときには、徹底抗戦をしていただきたい。国内に置き換えれば、これは「豆乳」という名称が消滅するかどうか。いや、それよりも重要な話なのだ。もっとも熱々の豆乳よりも冷めやすい我々は「豆乳」が「豆汁」に変わってもすぐに慣れてしまうんだろうけど。