その後、女子大生は重過失致死罪で在宅起訴され、書類送検された。米澤氏が語る。
「法律上、自転車は『軽車両』と定められています。しかも乗っていたのは最大時速30km近く出る電動アシスト自転車。なぜ危険運転致死傷罪が該当しないのでしょうか。やるせない気持ちが募ります」
事故当日、現場に居合わせた地元住人によれば、「女子大生はぶつかった後、被害者の救護活動もせず、近くに自転車を停めて立ちつくしているだけだった」という。
法廷でも女子大生側の弁護士が「悪質性の低い脇見運転にすぎない」と主張するなど、米澤氏の心の傷は深まるばかりだった。
「人の命をなんだと思っているのでしょうか……。加害者への怒りはもちろんありますが、今ではそれ以上に、ながらスマホを放置し続ける国や、対策に本腰を入れない携帯電話と自転車メーカーへの憤りも抑えられません」(同前)
警察庁の統計によれば、2016年度の「運転中のながらスマホ」を原因とする交通事故(自動車・自転車合わせて)は1999件。うち死亡事故は27件。事故総数は5年前から1.6倍に増えている。
現在、自転車を運転しながらの携帯電話使用は、道路交通法第71条で禁止されており、5万円以下の罰金が科せられる。しかし、危険性を鑑みると「罰則が軽すぎる」という指摘は多い。