「そちらにお座りください」──静かだが、圧を感じる口調でてきぱきと会場を仕切る。男性が8割方を占める会見場で一際目立つ凛とした女性がいた。
麻生太郎・財務相が部屋に入ってくるまではピッタリ寄り添っており、それ以後は入口で麻生氏の会見を見守っていた。全幅の信頼をおかれているのか、麻生氏は落ち着いた物腰で、表情は心なしか緩んでいるように見えた。
森友学園関連の文書改竄問題やセクハラ騒動などの不祥事を受け、財務省ではコンプライアンス推進会議が設置された。7月31日に開かれた初会合では、麻生大臣のほか、各局の総務課長が顔を揃えたが、会議の後には、出席者から「国民に理解される組織に変わらないといけない」といった発言が相次ぐなど、“地に堕ちたナンバーワン省庁”が少しずつ変わり始めている。
そうしたなかで、信頼回復に大きな役割を果たすと期待されているのが、7月17日付で広報室長に抜擢された城田郁子氏である。
広報室長は、大臣会見の時間管理から、不祥事が起きた際の対応に至るまでを取り仕切る“省の顔”だ。“男社会の軍隊組織”と揶揄される財務省にあって、2001年入省のアラフォーである城田氏は「初の女性広報室長」となった。官僚組織に詳しいジャーナリストの小泉深氏は、この人事を次のように評する。