ライフ

【香山リカ氏書評】肩の力が抜ける美術作品との接し方

感性は感動しない 美術の見方、批評の作法』/椹木野衣・著

【書評】『感性は感動しない 美術の見方、批評の作法』/椹木野衣・著/世界思想社/1700円+税

【評者】香山リカ(精神科医)

 本書は本誌・週刊ポスト読者にぴったりの良い本だ。著者は日本を代表する美術評論家で、内容はズバリ「美術の見方」。そう言うと「美術史や鑑賞のポイントが語られてるのか」と身がまえるかもしれないが、そうではない。結論を言えば、「絵とは『かたまり』として雑然と接し、答えも結論も出さないまま感じていたい」というのが、著者がすすめる「美術の見方」なのだ。

 予備知識をいろいろ詰め込んで美術展に出かける必要もない。カタログは、「一度『いい』と思ったら、今度はその絵についていろいろ調べてみる」ために買うもの。また、「いい」と思う絵はあくまで自分の感性に従って選ばれるべきで、「話題作とか有名作とか、絵が大きいとか小さいとかいっさい関係がありません」とも書かれている。

「なんだ、そうなのか」と肩の力が抜けると同時に、「じゃ、どうすれば」と不安になる人もいるだろう。これまで「美術は教養」と思ったり「美術のウンチクはモテるための武器」と考えたりして一生懸命、美術ガイドなどを読み込み、何時間も行列を作って大混雑の美術館に入場したりしていたのが、「ただ、感じるしかない」と言われると「では、どうすれば?」と途方に暮れる。実は簡単そうでこれがいちばんむずかしいかもしれない。

関連記事

トピックス

長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン