まず、サンクコストは時制が違うということを思い出すべきだろう。過去と現在、将来を切り分けないと、ズルズルいってしまう。
そして、なんらかの心の割り切りをつけて、事業から撤退するしかない。心の割り切りをするための例は、いろいろありうる。たとえば、
「他の事業と併せてみれば、全体では黒字を確保できている。この事業単独では赤字だが、これはもうしょうがない。いまが、引き時だろう」
「今回、この事業では損を出してしまった。でも、他では味わえない貴重な経験をすることができた。この経験を糧として、これからの経営の発展に活かすようにしよう」
「この事業では思わぬ赤字となったが、いまの赤字規模ならば、なんとか自己資本で処理できる。うまく損失を処理して事業を撤退することも、大切な経営判断だ」
このように考えることができれば、コストの呪縛から解放されたことになるだろう。
「もったいない」と思って無理をする気持ちが芽生えたときには、少し立ち止まって、「もしかしたら、これはサンクコストなのでは?」と冷静に考えてみる必要があると思われるが、いかがだろうか。