しかし、驚いたのは事実です。どこかの小国のモーターショーではなく、120年の歴史を誇るパリのモーターショーで、このような異変が起きてしまったのです。正直、これはもう、モーターショーという存在自体が問われる時期に来ているのかもしれません。
これまでパリをはじめ、フランクフルト、デトロイト、東京、ジュネーブの5都市のモーターショーは「世界5大モーターショー」と呼ばれ、別格の存在でした。開催国だけでなく、世界が注目するインターナショナルなモーターショーだったのです。
ところが、インターネットの普及や、中国ほか新興市場の拡大などによって、徐々に5大モーターショーの存在感は薄れてきました。実のところ、デトロイトや東京のモーターショーは、すでに今回のパリのように外国ブランドの出展が激減していました。それにパリも続いたということでしょう。
振り返ってみれば、昨年のドイツ・フランクフルトのモーターショーには、プジョーと日産、ボルボの姿がありませんでした。ドイツ車によるドイツのためのショーとなっていたのです。
また、世界最大の規模となった北京・上海のモーターショーは、もともと国内向けの色合いが濃厚なもの。そう考えてみれば、世界中ブランドが一堂に介して、世界に発信するというインターナショナルなモーターショーの時代は、もうすでに終わってしまったのかもしれません。
そんなパリのモーターショーですが、「それではつまらなかったの?」というと、そんなこともありませんでした。意外と面白かったのです。