今年7月に相続に関する民法の規定を見直す改正案が成立、来年1月以降に順次、施行されていく改正民法によって、相続の常識が大きく変わる。
義理の両親の介護一切を引き受けて、辛い思いも何度もしたにもかかわらず、いざ遺産相続となると、相続人になれるのは配偶者や子供だけで、「嫁」は蚊帳の外──今回の法改正には、そんな“不公平感”を是正するポイントもある。
もともと、介護の度合いに応じて相続額を増やす「寄与」という考え方があった。円満相続税理士法人の代表・橘慶太氏が解説する。
「寄与とは、平たく言えば、例えば長男は次男より親の介護をしっかりやっていたから、相続額を多めに配分しよう、というような考え方です」
ただ、従来は配偶者や子供など法定相続人でなければ寄与が認められなかった。それが今回の法改正で、“長男の嫁”のような相続人ではない親族も、「特別寄与料」を他の相続人に請求できるようになった。
法定相続人である夫が亡くなっても、妻は代わりに法定相続人になることはできない。夫が先に亡くなってしまった場合、本来は家計に入るはずだった姑や舅の遺産を受け取る権利はない。