郊外や地方を中心に「百貨店」の閉鎖が相次いでいる。大型ショッピングモールやファストファッションの台頭、そしてネット通販の普及などで売り上げ減に歯止めがかからないことがその要因とされているが、果たして大都市以外の百貨店は生き残れない時代なのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、百貨店復活の処方箋を説く。
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三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、地方・郊外店3店舗を閉鎖することを発表しました。昨年にも千葉三越、多摩センターの2店舗を閉鎖していますので、2年連続で複数店舗の閉鎖が決定したことになります。
今回、閉鎖が発表されたのは、伊勢丹府中店、伊勢丹相模原店、新潟三越の3店舗で、どれもピーク時に比べて売上高は半分前後にまで落ち込んでいます。三越伊勢丹に限らず、百貨店各社の地方支店・郊外店は毎年のように閉鎖や譲渡が発表されてきました。理由は売り上げ不振によるものです。
例えば関西圏でも、そごう西武が高槻店と三宮店を阪急阪神に譲渡しましたし、大丸松坂屋も今年8月には京都・山科にある大丸山科店の閉店を発表しています。ではどうして、地方支店や郊外店の売上高が不振になったのでしょうか。それには無理からぬ理由があります。
(1)地方支店・郊外店は売り場面積が狭いので商品バリエーションが少ない
(2)ファッション衣料に関していえば、ハイセンスブランドを集積しても地方にニーズがない
(3)イオンモールやららぽーとに代表される大型ショッピングセンターに若年~中年客を奪われている
(4)電車で20~30分圏内にある都心大型百貨店に客を奪われている
(5)シニア層からの支持は厚いが、そこに向けて効果的な施策を打ち出せていない
などが挙げられます。一方、大都心の大型店もすべてが好調というわけではありませんが、今のところ比較的好調な売れ行きを見せている店舗も多くあります。