業績が悪くなかった大丸松坂屋や高島屋でもメンズ・レディースの洋服の売上高は減少しているにもかかわらず、百貨店という施設においては洋服のフロアが大半以上を占めているのが実態です。

 都心の大型店はだいたい地下1階から地上9階か10階まで売り場があり、その上がレストランフロアとなっていますが、そのうち婦人服が3層~5層、紳士服が1層~2層、子供服が1層を占めています。洋服だけで最低でも5層、最大では8層も売り場を占めることになり、不振商品なのに売り場が多すぎることは明白です。

 今、百貨店でもっとも売れているのは食品、化粧品、それに宝飾品です。大丸東京店が好調なのは食品フロアを2層に増やしたためです。また化粧品も支持が厚く、百貨店では服など買ったこともない若い女性ですら、化粧品だけは百貨店で買っています。あとは富裕層が固定客化している宝飾品です。これらを強化拡充すべきです。

 そのうえで、地方百貨店は公共性の高い施設を積極的に導入するというのが効果的ではないかと思われます。

 2016年夏、私は数回にわたって三越伊勢丹HDの大西洋・前社長にインタビュー取材をしました。その後、大西氏が社長を電撃解任されたこともあり、結局、記事はお蔵入りしたのですが、その当時、大西氏は地方百貨店のリモデルプランとして2016年5月に大阪・枚方にオープンした複合商業施設「枚方Tサイト」に注目していました。

 この施設は奇しくも近鉄百貨店枚方店という閉鎖された地方百貨店の跡地に建てられています。郊外駅前店にもかかわらず、Tサイトは順調に集客しており、大西氏はその原因を、

「銀行に代表されるような公共性の高い施設をテナントとして誘致することが地方・郊外百貨店での集客に有効ではないか」

 と分析していました。地方・郊外の百貨店は若者よりも裕福なシニア層に支持されていますが、シニア層は百貨店に行っても洋服は買わない傾向が強いのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン