先日は、デイサービス主催のバスツアーに参加するというので、思い切って軽失禁用パッドの試供品を勧めてみた。
「長時間バスに乗るときとか、みんな使うんだってよ。別に使わなくてもいいけど…」
つい及び腰で差し出すと、「これ、何かしら? 持って帰ってちょうだい!!」と、いつになく声を張り上げた。
やはり母自身も気にしているのだ。私の不安は募り、ケアマネジャーに打ち明けた。
「案外、身近な娘さんには言えないものよ。無理に踏み込まない方がいいかも」
尿もれを自分で処理しきれなくなると、部屋や衣類がにおって、すぐにわかるという。
「私たちから世間話としてケア用品のことも伝えて、部屋のにおいもチェックしますね」と請け負ってくれた。他人の方がスムーズなこともある。母のプライドと乙女心はひとまず、ケアマネジャーに預けて見守ることにした。
※女性セブン2018年11月8日号