それに対し、監修にあたった金町脳神経内科・耳鼻咽喉科の内野勝行院長は反論する。
「検査は見た目ほど簡単ではありません。たとえば16枚のイラストを見て後に何の絵だったか記述する問題では、絵を見てから答えまでの間に数字を用いた全く無関係の課題が挟まれていて、若い人でも難しい。4枚ずつストーリーを仕立てて覚えるなど、コツが要る」
例えば、大砲、オルガン、耳、ラジオといったイラストが並んでいる問題なら、〈大砲の音をオルガンで鳴らし、それをラジオで聞いた(耳)〉と関連づければ、記憶を蘇らせやすい。
「認知症の人の場合、本書を事前に読んで対策しても、記憶や認知は低下していますから、こうした手法を習熟することはできません。逆に予習で対策が身に付く人は、そもそも認知症ではないと思われます」
内野氏は「50代の人にも手に取ってほしい」と言う。
「親に認知症の気配を感じても、『返納して』というだけでは喧嘩の元。そこで本を買って『やってみて』と説けば、説得材料になる」
“対策本”の登場について警察庁に問うたが、判断が難しいのか、回答はなかった。