「出店場所を繁華街ではなく、住宅地にしていることが大きいと考えています。店舗の約7割が住宅街にあります。駐輪場やスーパー、バス通りなど“近隣住民が毎日利用する”場所に設置することで、サラリーマンだけでなく、子供やお母さん、シニアの方など、地域の人々の目に触れやすい立地となっている。
認知度が上がることで、“串カツ田中に行ってみようか”と気軽に誘い合える店になっているように思います。住宅街に出店する利点はほかにもあって、賃料が安い、競合が少ない、アルバイトを集めやすい」
◆「原価率」は3割を守る
身近な場所にあって安い──それがリピーターの増加に繋がっている。いつも自宅から歩いて通っているという常連男性(65歳、元公務員)は語る。
「最初入ったときはチェーンと気づかなかったんだよね。小綺麗な店構えのワインバーなら入るのに躊躇するが、ここなら気兼ねがない(笑い)。4時過ぎに来て、串カツ2~3本とハイボール1杯だけ飲んで帰れば、1000円もかからない。それならカミさんに『また外で飲んできて』とかガミガミ言われることもない。家で軽めに夕飯を食べてあとは早めに寝ちゃう。天国だね」
地元の写真サークル仲間とよく来るという男性(70歳、無職)はこう言う。
「年取ると人によって食べる量が違う。串カツなら1本ずつ頼めるから、量の調整が利きやすいんだよね。酒飲むとそこまで食べないけど、仲間の中には10本以上頼むヤツもいる。揚げ物っていっても、野菜とかもあるから案外いけちゃうんだよ」