日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者の逮捕により、日産、仏ルノー、三菱自動車という3社連合の先行きが懸念されている。中でも日産の傘下入りで業績回復の兆しが見えていた三菱自動車は、またも不安定な立場に立たされている。果たして、三菱自動車の未来はどうなってしまうのか。ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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三菱自動車工業という会社は、よくよく翻弄される運命なのだろうか──。ようやく業績が好転し、11月に入ってRJCカー・オブ・ザ・イヤーをSUVの「エクリプスクロス」で獲得。間もなく、同じ田町エリア(東京・港区)ながら竣工したばかりの高層ビルに本社も移転する。その矢先に起きた“ゴーン・ショック”だった。
今年3月から国内販売を開始した「エクリプスクロス」は月販目標が1000台で、直近は9月が847台、10月が504台だったが、3月の同車の発表会では、三菱自動車の益子修CEOが感慨深げにこう語っていた。
「このクルマは、当社としては2014年2月に出した(軽自動車の)『ekスポーツ』以来、実に4年ぶりの新車であり、世界80か国で販売する世界戦略車。シャープでダイナミックな、クーペスタイルの四輪駆動車です。また、日産自動車と資本提携する前に開発したクルマであり、我々の判断と力で開発したという点で、強い思い入れ、特別な愛着を持ったクルマでもあります」
その後、新型の「アウトランダーPHEV」や「デリカD:5」も投入、販売的にはこの2車種のほうが「エクリプスクロス」より台数は出ており、今年1月~10月のトータルで見ても登録車、軽自動車ともに、三菱自動車の国内販売は前年比超えを続けている。
とはいえ、中位メーカーのマツダ、スズキ、スバルと比べて登録車の販売台数ではかなりの開きがあり、軽自動車のそれもマツダ、スバルよりは上だが、スズキ比では比較にならない。
三菱自動車の強みであり主戦場はASEAN、特にインドネシアだ。インドネシアでは、デリカD:5のデザインにも似た、クロスオーバーMPVの「エクスパンダー」が大ヒットし、今年3月と7月には、同国での車種別販売ランクで1位にもなったほど。
完成車の無資格検査問題や排ガス、燃費データの改ざんなど、同業他社の敵失が目立つ中、三菱自動車はその間隙をぬって業績がスルスルッと上がってきた印象があったのだが、ゴーン・ショックによって会社の先行きが不透明になってしまった。