ときどき話題になる国連の世界幸福度報告だが、日本はあまり順位が高くないことを取り上げられることが多い。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、2018年、幸福度ランキングで51位から54位に日本が落ちたのはなぜなのかについて考えた。
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「自分にとって幸福とは何だろうか?」
新しい年の年頭に立って、ふとそんなことを考えた。
自分の夢をかなえたり、欲を満たすのも幸福の一部かもしれないが、少し違うようにも感じる。幸福は、個人的なものであると同時に、周囲の人やコミュニティーと共有する公共的な側面もあるからだ。
毎年、国連の世界幸福度報告が発表されている。一人当たりのGDPや社会的支援、健康寿命、社会の自由度、他者への寛容さ、汚職や腐敗のなさを数値化したものだ。
2018年のランキングでは、1位はフィンランドだった。2位以降はノルウェー、デンマーク、アイスランド……と北欧諸国が続いている。日本は前年の51位からさらに落ちて54位になった。
日本は、GDPや健康寿命は決して低くない。社会的支援や社会の自由度もまあまあなのに、どうして、幸福度が上がらないのだろうか。かつて日本がGDP世界第2位だったときがある。そのころも、日本人の幸福感は低かった。がんばっても、がんばっても、幸福になれないなんて、何かがおかしいと思った。