どうしたら幸福度を上げることができるかというのは、社会をつくっていくうえで、大事な視点だ。内閣府のシンクタンクは、もう何年も前から幸福度を政策に活かそうと調査を行なっている。だが、その一方で、個人が幸福感を実感できるか、という視点も忘れてはならない。
国連の世界幸福度報告では、各国の国民にアンケート調査し、自分が幸福かどうか0~10までの数字を尋ねている。実は、この主観的な幸福感がランキングに大きく影響しているのだ。
日本人は、幸福度を10点満点だとすると、5点くらいに答える人が多いのだそうだ。禍福はあざなえる縄のごとしと考え、幸福感と距離を置いているのだろう。日本人の幸福感が少ないのは、セロトニンのレセプターが、欧米人に比べて少ないからだという説もある。
だが、社会の幸福度を上げていくには、一人ひとりの幸福感をもっと大事にしていく必要があるのではないかと思う。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2019年1月11日号