トヨタで国内販売を担当する常務執行役員の長田准氏は、「今、クルマやドライブの楽しさを訴えられなければ、今度こそ日本市場は終わってしまう」と、ハードウェアとしてのクルマ、ソフトウェアとしてのドライブというパーソナルモビリティの両輪が揃って衰退していることに危機感をにじませる。その打開策のひとつにスープラを使ってくる可能性は十分にある。
クルマがどんどんコモディティ化している今の時代、スポーツカーを発売するのは大変なことだ。スポーツカーを定期的に出し続けているのはポルシェやフェラーリなど、もともとスポーツ性の高いメーカーであったり、メルセデスベンツやBMWのようにユーザーからスポーティモデルを出すことを期待されているようなメーカーばかりだ。
そういうブランドでないトヨタにとって、いかに巨額の利益を上げていようとも、スポーツカーを作るハードルはきわめて高い。実際、レクサスブランドでさえスポーツモデルは苦戦しており、カテゴリーの下位に沈んでいる。
そのトヨタがBMWのプラットフォームを使うとはいえ、スープラのような情感重視のクルマづくりを諦めないというのは非常に心強いことだ。果てしなく難しいチャレンジではあるが、これでユーザーをちょっとでもクルマに吸引することができれば、他メーカーの追随も期待できよう。2019年の日本の自動車マーケットにおいて、ぜひ注目したい動向と言える。