高額な自由診療でありながら、1か月で約2万7000件の手術が行なわれているインプラント治療。その費用は施設によって異なり、最安で約20万円、東京都内では35万~50万円が多い。3月14日、国民生活センターが8年ぶりに公表したインプラントに関するトラブルの相談内容からは、歯科医の無責任な対応が際立つ。
50代女性は、ネットでみつけた歯科医院を2度目に訪れた際、いきなり診察室でインプラントの手術が始まったという。帰宅後、出血が止まらず、救急センターを受診、そのまま緊急入院となった。
別の50代女性は、インプラントを入れるため、下顎から削った骨を上顎に移植する手術を受けた。
手術中は鼻から回ってくる血液を飲み続け、出血が止まらないまま、「1日様子を見て」と帰された。
出血が止まらず、再び病院に戻ったところ、歯科医が手術で前歯の上の鼻腔底を割ったことが原因と判明。救急車で他院に搬送されて、4日間入院した。東京医科歯科大学・インプラント科の春日井昇平教授は、実情を吐露した。
「こうしたトラブルを起こしているのは、学会にも入らないで勝手なことをやっている、一部のアウトサイダー的な歯科医。法的な規制の網にもかからないので、対策が難しいのです」
◆手術後メンテナンスがなくて抜け落ちてしまう